目のページ

人物の絵を描くとき、最も大事と言っていいくらいのパーツ、目

1回目はそんな重要なパーツである目について考えようと思います

「目は口ほどに物を言う」という言葉があるくらいで
それは2次元のイラストの中でも同じです

普段描いてる中でNOCKYが気付いたことや考えてること、最後に実際使ってる描き方などを載せていきたいと思います



1.描き分け

まず↓の画像を見てください



これは「バクマン」の中で新妻エイジが初めてサイコーたちに会ったときのシーン

やはり目は読者に与える印象を全然違う!!というのを天才・新妻エイジも分かっているらしいです
まぁ重要性は今更言うまでもないことですが

注目してほしいのはこのスケッチブックの中の目!
ジャンプの人気作品である「BLEACH」、「ONE PIECE」、「DRAGON BALL」、「NARUTO」の主人公たちの瞳です
さすが、新妻エイジ、人気作の絵柄は描けるんだ〜 って話はそんなことじゃなくて!
どれも瞳と眉毛程度しか描いていないのに「どの作品の誰か」ということが一発で分かるのです!

そりゃ当然だろ って、まぁそうなんですが、
やはり人気作品の作者というのは自分の絵柄、こうだ!っていう主人公を描いているということを、魅力的な目をにしているんだということをものすごく分かりやすく描いてあるシーンです


そして作者の絵柄がそれぞれ違うのも当然ですが、
同じ作者が描いてても作品の中でかぶってしまっては読みにくいものです
もちろんキャラの描き分けをしなければならないのですが、そんなときも目の描き分けは重要です
髪型だけ変えて同じ顔だったりする描き分けしかできない人ってたまにいますけど
それだとどこかしっくりこない・・・キャラの個性もうまく出せないと思います

記憶だけを頼りにマンガのキャラを描いてから、ちゃんと本物を見て模写してみると
予想外に各パーツにそのキャラの個性が出ているこだわった描き方がされていることに気付いて面白いです


自分の絵で申し訳ない&恥ずかしいのですが、おれの描いてるマンガの中ですら
それなりに描き分けてるんだな、と自分でも見直してみて気付きました笑↓





まぁこれはおれが勝手に意識してやっているだけなので、上のやつだけ見てもしっくりこないかも知れませんけどw

要するにキャラの描き分けをするときには細かいパーツへのこだわりが、特に目の描き分けが重要だということです

そういうことを意識して、次は具体的にどういう風に目を描くのかということを考えたいと思います



2.光の入れ方


現在多く描かれている瞳というのはどれも光が入っています

実際に人間の瞳をよーく覗いてみると必ず黒目の中に光点があります

つまりは光が入ったほうがより人間らしく描ける、と単純にそうなるわけです
極端なことを言えばいわゆる少女マンガ目というか、キラキラした瞳というのは魅力的です


そんな中で現代のマンガのトップを走る「ONE PIECE」の主人公であるルフィの瞳は黒い点です
これは実に珍しいことで、あの井上先生も尾田先生との対談で「本当にすごい」と言っていました

光を入れないというのは、光を使った様々な表現ができないということで、
それを黒い点の瞳で様々な表情を表しているルフィ、つまりは尾田先生はやはり怪物です

では、光を入れることでどれだけの表現が生まれるかを考えてみます

まずは↓の画像を見て下さい



これはハンター×ハンターのワンシーンですがゴンの瞳が真っ黒です

普段のゴンというのはご存知の通り瞳に光が入っているのですがこのシーンではあえて真っ黒にしているのです

これはゴンの心の内が、負の感情で満たされている、ものすごく冷たい気持ちなのを表しています


普段目が輝いているキャラがそれを失ったとき、それだけでそのキャラの心境の変化、
心の表情を表すことができるのです

すごいのはこの表現、別に誰に習ったわけでもないのに読者は読んでて自然とその意味を理解しているということです


分かりやすい例がもうひとつ





使用前                                  使用後
  

左はデスノートと出会ったばかりの初期の月

右は5年間デノートを使用し、完全にキラ様になった月

まぁ表情自体が全然違いますが、もし右の月が左の月と同じ目をしていたら不自然です


ちなみにデスノートの中ではL、ニア、メロは真っ黒な目をしています

要するに真っ黒な瞳というのは「ちょっとアレ」な意味があるのです



じゃあ逆に真っ白は!?

これを見てください



これもハンター×ハンターですが
キルアの瞳は真っ白です


これは「頭が真っ白になる」という言葉があるように、自分の行動に驚いたことを表現しています

まぁ、驚いたときなどの表現では瞳だけでなく普段黒いもの、例えば髪の毛とか(キルアは始めから白いですけど)
を白くすることで「!!」という効果が出ます

ちなみに冨樫先生はこの表現を応用してページをまるまる真っ白にするという大技を使って
場面だけでなく、読者をも驚愕の渦に巻き込むということをしょっちゅうやっています




光のあるなしにはそれだけの効果があるわけですが

光の使い方でも様々な表現があります

光を入れる部分によっても効果があります



みんなご存知、先日復刻版の出たあずまんが大王です

しかしよく見て下さい

みんな目に光入っていますが

大阪さんだけ・・・



光が黒目の下のほうに入っています


これは彼女の天然キャラ、不思議キャラだというものを表す効果があります

何気なく見ていますが、さりげなくそういう表現がされているのです

ちなみにおれもこの表現を使っていて、イザコの瞳は必ず黒目のしたのほうに光を入れてます


その他にも瞳の光を使った表現はたくさんあります



これは天上天下のワンシーン、
目の光を線にして残光としての描き方をあえてすることで動きの速さとキャラの確かな意志を表しています

これは光の表現とも言えますし、影の表現とも言えます

光の強さを表すためには回りの影もまた強くしなくてはならないのです



更にはこんな表現も



これはバクマンで亜豆が涙を浮かべるシーン

目ぇキラッキラです

これは実際に泣いてるときというのは瞳に涙がにじんでる訳ですから当然潤んだ目には普段よりも光がうつりやすいのです



このように目にうつる光だけでも様々な表現があり、まだまだ他にも、おれも気付いていない表現がたくさんあるはずです



3.バランス


目の描き方によって様々な表現や効果があるのは上記の通りですが、

何といっても大切なのはバランスです


目と目の間、顔のどの位置に置くかなどで全く印象が違います
逆に言えば目の描き方がめっちゃうまくてキレイでもそれがとんでもない位置にあるととてもヘタに見えます

これは口で言うよりもまさに実際慣れるしかないのですが
何も考えないでやるのと考えてやるのとでは多少違うと思うので・・・

難しいのは両目のバランス・・・特に角度です

さっきも使った↓の画像ですが、



これを目だけピックアップすると、



なんだか目だし帽を被った変態みたいですけど

実はかなりの角度がついています



何と30度近く角度がついているのです

これは実際描いてみないと本当に分かり難いことなんですが
絵がうまい人ほどこの角度のバランスがキレイにとれているんです

更に言えば、



左右の目の大きさの違いも分かります
右目は左目の倍の大きさがあります

まぁ近くにあるものは大きくて遠くのものは小さいという、ものすごく基本的なことで当然なんですけど

これもまた実際やってみると難しいんです

こんなときに役に立つのが十字線です


人の顔を描くときにまずこれをやる訳ですが

おれも昔はよく思いました
これをやることに何の意味が!? おれ、絵描ける人だよってアピールのためとしか思えん!



しかしこれこそ顔と目のバランスをとる最も簡単で基本的な技法なのです

もちろんそんなもんやらなくてもバランスとれる!という人には必要ないんですが

いつもバランスがおかしくなるなぁって人には多少なりとも効果があるかも







ということで1回目の今回は目を描く上での表現方法を色々考えてみましたけど
どうだったでしょうか・・・

もし何か感想や意見などありましたらなんでもいいので反応があると嬉しいです

つーか、おれが一人で考えるんじゃなくてホントは一緒に誰かと酒でも飲みながら語りたいんですよw

ということでそんな人はこちらからお願いします

次回は実際におれが今現在やっている方法で目を描こうと思いますが
なかなか時間がつくれないので1回目で終了ということも普通にあります、ご了承ください